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タイ経済市場レクチャー

2015年10月13日(火)
JETRO バンコク事務所の滝口氏、松本氏にレクチャーを受けた。

レクチャーの様子

タイの一般概況

概要

人口:6,700万人(内バンコク:830万人 構成比12.6%)
邦人:65,000人
面積:51.3万㎢(日本の1.4倍)
GDP:3,873億ドル(日本の約7.9%)(2013年)
うち1人当たり国民総所得:5,385ドル
GDP構成比:製造業約28%、商業約14%、農業約11%(農業就業人口は約4割)自動車産業と電気・電子が工業の二本柱
教育:高校まで義務教育

タイの経済について

1. 主な産業と景気

タイは海外資本で支えられていて、日系企業は4,567社で90万人の雇用を創出しており、 タイ経済への貢献度は高く全外資の6割が日本である。 タイ経済の自動車産業への依存度は高く、タイ国内の景気は自動車の販売台数に大きく影響 される。2014年の自動車製造台数は、前年比24%減の188万台で、これは内需刺激策と して行われた「自動車購入補助策」終了の反動による国内販売の落ち込みと輸出の伸び悩み のためである。(ちなみにタイ国内を走る自動車の8割は日本車である。)現在は、在庫調 整も一服し、回復の兆しが見えてきている。観光業は完全に回復し、外国人観光客数は増加 しており、王宮などの観光地やホテルは、中国人観光客で溢れかえっている。

2. 消費傾向

タイ人は貯蓄するという事が少なく、給与が入るとすぐに使う傾向にある。 また、欲しい物はローンを組み手に入れるか、レンタルするという感覚が強い。 お金が入るとほとんど使い切るので、個人消費は落ち込んでいると感じない。 ただし、後日訪問した代理店リナレー社の方の話では、タイ国内の景気は良くなく、美容室 の来店頻度は落ちているということだった。

3. 雇用

タイ人の大卒の基本給は、月額1.7 万~ 2 万バーツ(5.5 万~ 6.7 万円)で、月額5 万バー ツ以上が富裕層に属する。富裕層は全人口の3%で、そのうち60%がバンコクに集中して いる。なおタイで決められている最低賃金は全国一律一日300 バーツ(バンコクと地方で は生活形態が違うが)で、低所得者の多くは残業代を頼りにしており、残業のない日が続く とストが起こることがある。 また、ほとんどが共働きで専業主婦は少ない。一家庭の平均所得は1.5 ~ 3 万バーツで両親 との同居が多く、子供は両親が見ていることが多い。

理美容サロンについて

1. タイにおける海外企業の扱い

理美容サロンに於ける外国人の施術行為は一切禁止されており、許可されているのは管理業 務だけだが、日系サロンでは直接施術していることが多い。見つかった場合は罰金で済むこ とが多いが、将来的に現地人の技術が向上したタイミングで営業停止・店舗閉鎖という強硬 策に出られる場合もある。 したがってサービス業において、海外からの進出は規制も多くメリットが少ない。

2. 美容師資格

3か月間職業訓練校に通い技術を習得し、資格は特に必要がない。 また、サロンでスタッフを育成するという考えはない。最近、向上心のある若手美容師は、 日本製のハサミを使い始めている。

3. 店舗・価格

タイ国内には、11 万店舗ある。 カットのみで1,000 バーツ以上の高級店は、全国で約100 店舗あり、内50 店舗がバンコク に集中しており、48 店舗が日系サロンである。現地でチェーン展開している有名中級店 「CUT&CURL」は、カット400 バーツ、店舗数約20 店舗である。最近では、出勤前に30 ~ 50 バーツで洗髪のみ行うのがトレンドとなっており、こうして辛うじて美容師の生計を 維持しているケースが多い。

4. 美容

近年、「美白」が非常に関心の高いキーワードになっているが、余程のお金持ちでない限り、 化粧水や保湿剤を使わず、洗顔後に直接ファンデーションを塗るという人が多い。最近は洗 顔と保湿の2in1 がトレンドになっている。

5. ヘアケア

現地メーカーのヘア化粧品はあるが、安価で粗悪品が多い。 外資メーカーに於けるカラー&パーマの上位ブランドは、下記になる。
1.Schwarzkopf
2.Liese
3.L’ Oréal(パブリック含む)。

低級サロンでは一般的に店販品を購入するという文化はなく、サロンとホームカラーは半々 で、技術料200 バーツもらって染めるサービスをしているサロンもある。現地人は白髪に なり難い体質なのか、グレイカラーをする人はあまり見かけない。パーマは年配の「おばちゃ んパーマ」が主流で全体的に需要は低い。

タイでの邦人の生活

日本食レストラン2,126 店(バンコク1,415 店、地方711 店)があり、今も日本食飲食店 の進出が続いている。(大江戸・モスバーガー・池袋ばんから・Coco 壱番屋・丸亀製麺・ 大阪王将 等)。 タイ資本の日本食店も大賑わいで、日本食ブームの火付け役となっている。また日本の食材 も、一部関税の関係で3 倍位するものもあるが、伊勢丹・フジスーパー・イオンなどで安 価に調達できる。 駐在員のほとんどはバンコク市内に住んでいるが、最近シラチャ(バンコクから南東へ下っ たところ)に転居する人も出てきた。

今後の期待

日本人(外国人)美容師が技術的サービスをしてはいけないことは残念だが、経営・教育といった側面で関与できるということは、日本の仕組みを落し込むことに成功すれば、価格競争に巻き込まれるリスクが少ないということで、今後に期待が持てる。単なる物売りでなく、ソフトと製品がリンクした日本のビジネスモデルが活かせるかもしれない。

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