NBBA交流委員会
特別オンラインセミナー レポート
開催日時:2025年2月14日(金)13:00~14:30
開催方法:Zoomウェビナー
講師:露木しいな 氏
テーマ:“美”の裏側に潜む環境と人権の交差点〜美容業界が作る地球に優しい未来〜
開催日時:2025年2月14日(金)13:00~14:30
開催方法:Zoomウェビナー
講師:露木しいな 氏
テーマ:“美”の裏側に潜む環境と人権の交差点〜美容業界が作る地球に優しい未来〜
露木しいな 氏
2001年横浜生まれ、中華街育ち。
「世界一エコな学校」と言われるインドネシアの「Green School Bali」で高校3年間を過ごし、卒業。
COP24(気候変動枠組条約締約国会議)in Poland、COP25 in Spainに参加。肌が弱かった妹のためにSHIINA organicを立ち上げる。
2019年9月、慶應義塾大学に入学。
現在は、環境講演を全国の小中学校に行うため、休学中。
220校3万人以上にお話を届けた。
環境活動家であり、講演家、起業家でもある露木しいな氏にご講演いただいた。高校時代にみずからアクションを起こし、大学を休学中の現在も、関心を持つことの大切さ、行動することの大切さを伝える活動を継続している。
講師は言葉としての英語に魅力を感じ留学を志すが、母からのアドバイスにより普通の語学留学ではなく「そこでしか学べないこと」を学ぶため、『世界のグリーンリーダーを育てる』をミッションとするグリーンスクール・バリを留学先として選ぶ。
校舎や体育館はすべて竹造り。電気は通っていないが自然光が取り込める設計となっており、天候に関係なく明るい教室で勉強ができる。給食のお皿はバナナの葉っぱを使用。食材も学校敷地内で育てたものを使い、食事後は自然に還す。またスクールバスも揚げ油の廃油で走らせるなど、世界一エコな学校。
そこには世界中から環境問題に関心の高い若者が集まり、授業はすべてエコの視点で進行し、授業内容の暗記ではなく、考えて行動に起こすことが評価となる。講師は学友であったバリ島出身の姉妹による活動に影響された。ゴミ拾いは問題の解決にならない、捨てられる量を変えるべきということに気づいた姉妹は、バリ島でのビニール袋使用を禁止するよう法律を変えた。この姉妹が良く言っていた言葉「社会を変えるのに大人になるのを待つ必要はない」に強く感銘を受け、講師の現在の環境活動のきっかけとなった。
さらに影響を受けた活動家にスウェーデンのグレタ・トゥンベリ氏がいる。はじめはひとりで始めた環境保護を訴えるストライキが、世界中で400万人が参加する規模の活動となった。講師は日本では見られないこの市民の環境意識の高さの理由を情報格差にあると考えている。日本の報道自由度は先進国のなかでも低いことは周知の事実であり、自分が人に伝えていかなければならないと行動に起こすことを決めた。またその呼びかける対象は、いまは全く環境問題に興味がない学生に設定。「大学は待ってくれるが、気候変動は待ってくれない」と大学を休学し、講演活動をスタートさせた。
ある小学校では講演後、給食の牛乳をプラスチックストローではなく裏庭の笹の茎で代用したり、そもそもストローを使わずに飲む方法を考えたり、数年後には他校にも同様の取り組みを波及させたという事例がある。小さな取り組みではあるが、知ってもらうこと、続けることで徐々に大きな動きになることを実感した。
また企業家でもある講師は、妹の肌荒れをきっかけにオーガニックの口紅開発に着手。化粧品づくりは講師がグリーンスクールの理科室で15歳の時に始めたライフワークである。ナチュラルやオーガニックと書いてある化粧品でも肌が荒れてしまった妹に、安心して使ってもらえる化粧品を作りたいと思ったことが商品化のきっかけだった。
化粧品開発を進めていくうち、ナチュラルという定義の他にも問題が山積みだということを知る。例えば、パームやしのプランテーションによる環境破壊。パームオイルは非常に優秀な油で多くの化粧品や食品に使われているが、その生産過程では、焼き畑による大気汚染、野生動物の生息地の減少などの問題があることはあまり伝えられていない。化粧品の製造にあたってはほかにも動物実験や児童労働など、さまざまな社会課題が横たわっている。SHIINA organicの化粧品はオーガニック認証を受けているが、可能な限り自身の目で生産過程を確認することを実行している。
まずは環境配慮の取り組みを消費者に理解いただき、購入してもらうことがブランドを 展開する意義であるとのこと。
「願うだけでは叶わない、行動がすべて」という言葉で今回の講演を締めくくっていただいた。